次世代ガンマ線CTの開発(1) 心筋SPECT装置のプロトタイプ

放射線同位元素を体内に注入し、特定の臓器に集積させ、そこから発するガンマ線を収集し、体内の臓器の機能状態を映像化するガンマ線CT装置の開発研究を行っています。我々の狙いは、CdZnTeという半導体検出器を用いて、高いエネルギー分解能及び空間分解能の映像をつくり出すことです。半導体検出器は大変小型なのでコンパクトな検査装置を作ることができます。


次世代ガンマ線CT装置の概念図 心筋用2検出器システムのプロトタイプ


心筋ファントムの再構成画像

欠けている部分は心筋梗塞を模擬した部分



次世代ガンマ線CTの開発(2) 脳SPECT装置のプロトタイプ

脳の機能状態を映像化して、認知症の診断や治療に生かす装置の開発並びに、その画像再構成アルゴリズムの開発を行っています。このシステムではピンホールコリメータおよび半導体検出器を用いて、大変小さな集積部分を明瞭に映像化することができます。


ロッドファントムの再構成画像 脳の再構成画像


頭部用3検出器システムのプロトタイプ


半導体検出器を用いた超高分解能SPECT装置の開発

医薬品の開発では、その効果判定をマウスなどの小動物を用いて行っています。このため、小動物の体内を放射性医薬品を利用して映像化することが重要になります。我々はCdTe半導体検出器(ピクセルサイズ0.5mm)とピンホールコリメータあるいは平行多孔型コリメータを用いて、薬剤投与後のマウスの体内の医薬品の集積状況を映像化する装置を開発しました。我々の装置では0.3mm程度の集積を映像化することが可能です。下の図は、この検出器で映像化したマウスの体内の放射性医薬品の分布の画像です。



フォトンカウンティング形XCT開発

現在のXCTでは光子のエネルギーの積分値を計測していますが、われわれは、光子をエネルギーごとに計測する技術を応用し、あたらしいX線CT装置を開発しています。この装置によって媒質をCT画像から同定することが可能となり、診療に大きな影響を与え、また、テロ対策にも役立ちます。



デジタル画像のコントラスト強調処理

われわれが開発したWavelet変換を基礎としたコントラスト強調法は、過度に画像のコントラストを強調せずに適切なコントラストを常に維持するような機構を待たせています。 


パノラマX線画像の最適画像処理

パノラマX線撮影装置は歯列全体を一枚のパノラマ写真のように映像化する装置ですが、われわれはこの撮影においてトモシンセシスという技術を応用し、見たい部分の深さを自由に調節でき、かつ、雑音除去とコントラスト強調を同時に行うアルゴリズムを開発しました。

パノラマX線撮影装置


ニューラルネットを用いたプライマリ光子の推定

薬を開発するためには、マウスなどの小動物を用いた実験を行います。そして、さまざまな診断や治療をする際に、開発した薬剤がマウスの体内のどこに集積して、効果を発揮しているかを映像化することが行われます。われわれは国立がんセンター東病院と共同で、そのような薬剤を映像化する方法を研究しています。その際、放射性医薬品がどこにどれだけ集まったかを定量化することが要求され、そのようなことを実現するのに、人間の脳神経細胞の動きを工学的に応用したニューラルネットを用いています。


マンモグラフィ画像の最適映像化

乳がんの診断では、マンモグラフィ装置が使われています。この装置によって、微小石灰化や腫瘍陰影を読影することができますが、より診断能を高めるためには、画像処理技術が欠かせません。われわれは診断目的に合った様々な画像処理手法を開発しています。


放射線治療の高精度化

コンプトン散乱はガンマ線と原子との間の相互作用の一つですが、この現象を利用してガンマ線の飛来方向を検出し、この情報からガンマ線源を映像化することができます。われわれは京都大学理学部と共同でこのようなシステムを開発しており、マウスのFDG画像のイメージングに成功しました。